「アドバイザー」活用広げて
気象の専門家 全都道府県に配置
山口代表強調
公明党の地域気象防災推進議員連盟(会長=山口那津男代表)と女性委員会(委員長=竹谷とし子参院議員)、地方議会局(局長=輿水恵一衆院議員)は15日、東京都新宿区の党本部と全国をオンラインで結んで合同会議を開き、出水期を前に地域の防災力向上に向けた取り組みの強化を確認した。山口代表が出席し「公明党は気象の専門知識を持って備えを固めることに力を入れてきた。連携を密にして地域の防災力を高めていこう」と訴えた。
災害時の情報発信など自治体との連携重要
地域の防災力向上へ取り組みの強化を確認した党合同会議=15日 党本部
山口代表は2020年7月、豪雨に見舞われた熊本県内の被災地で聴いた声として、自治体が地域ごとに対策を講じていく際に「気象台から発せられる気象災害情報について、気象台OBのアドバイスが役に立った」との教訓を紹介。気象庁が委嘱して自治体などへの災害対応の助言を行う「気象防災アドバイザー」について、公明党の提案で、気象台OBも対象に加わり、「47都道府県全てに1人以上の配備ができるようになっている」と力説した。
その上で、市民への啓発など同アドバイザーが担う平時からの役割も踏まえ、「こうした体制が全国の市区町村に備わっていくことが、日本全体の防災力を強化することにつながる」と強調。公明議員が6月定例議会などを通じて、地域の実情に合った取り組みを積極的に働き掛けていくよう訴えた。
会合では、愛知県豊田、刈谷、岡崎の各市で同アドバイザーを務める早川和広氏が講演。注意報級以上の大雨時において、降水量予想・降水ピークなどを自治体や消防本部の職員に対し、メールで提供するなどの活動を通し、小中学校の休校措置検討や避難所開設に向けた事前の準備に貢献した事例を紹介した。今後の課題として「必要な予算の確保や、地域を熟知した人の継続した任用が可能かどうかだ」と訴えた。
このほか、気象庁担当者が、豪雨災害のリスクが高い「線状降水帯」を巡って、6?12時間前に予測して発表する情報を、これまでの広域単位から県ごとに細分化する方針を説明。さらに29年の開始をめざし「市町村単位でも出せるよう計画を立て、調査研究を行っている」とも話した。
線状降水帯の半日前予測
県ごとに細分化し発表
気象庁、28日から実施
公明、強力に推進
気象庁は15日、大雨災害の危険が高まる線状降水帯を6?12時間前に予測して発表する情報について、これまでの地方単位から県ごとに細分化すると発表した。住民や自治体などがより的確に防災対応を取れるように、スーパーコンピューターによる予測手法を改善した。
予測情報は全般(全国)、地方、県単位の3種類ある気象情報の中で示され、28日午前9時から実施する。広い北海道や島しょが点在する東京都、鹿児島県、沖縄県は域内をさらに細かく分けて予測する。
線状降水帯は前線などの影響により、積乱雲が次々と連なって形成される。大雨がほぼ同じ地域で降り続けるため、土砂崩れや低地の浸水、河川の氾濫が起きやすくなる。発生した場合は気象庁ホームページのレーダー画像(雨雲の動き)に長さ50?300キロ、幅20?50キロ程度の赤い楕円で表示されるほか、「顕著な大雨に関する気象情報」でも発表される。
公明党は線状降水帯による近年の豪雨災害を踏まえ、予測精度の向上へ施策を強力に推進。昨年7月に改定された政府の「国土強靱化基本計画」には、デジタル技術を活用した災害対応力の向上などが盛り込まれている。