公明新聞:2017年6月6日(火)付
防衛省の庁内託児施設を視察する党女性委員会子ども・若者支援PTのメンバーと古城氏(前列左から4人目)=5月26日 東京・新宿区
解消へ政府が新プラン発表
保育士の賃金アップなどに続き
党プロジェクトチーム 提言で施策をリード
女性が活躍する社会を実現するために、認可保育所などに入れない待機児童への対策が急務です。一貫して環境の整備を図ってきた公明党の取り組みを紹介します。
公明党女性委員会の子ども・若者支援PT(座長=佐々木さやか参院議員)は5月26日、東京都新宿区の防衛省を訪れ、4月に開設された庁内託児施設「キッズパオ防衛省市ヶ谷保育園」を視察しました。古城まさお党都本部広報宣伝局次長(都議選予定候補=新宿区)が同行しました。
同園は政府の子ども・子育て支援新制度に基づく「事業所内保育事業」として開園。自衛官など職員の子どもを「従業員枠」、地元の新宿区民の子どもを「地域枠」として受け入れ、20人の子どもが入園しています。
子どもを同園に預けている職員の女性は、「昼休みに授乳できるので安心」と話していました。佐々木PT座長は、「女性の活躍を推進するためにも、保育環境の整備を、より一層進めていく」と語りました。
待機児童は4月1日時点で約2万3700人(暫定値)で、前年同時期の数を上回っています。
公明党は昨年3月10日、高木美智代衆院議員を座長とする待機児童対策推進プロジェクトチーム(PT)を設置。地方議員とも連携し、待機児童が特に多いといわれる東京都の世田谷、杉並、江東の各区や川崎市の自治体関係者と意見交換し、提言をまとめました。
この提言は同25日に安倍晋三首相に提出され、今年度の予算に反映されています。各自治体の受け入れ態勢の整備を進め、新たに約4万6000人が保育所に入れるようにします。他にも、企業が主に社員向けに整備する「企業主導型保育所」の設置も進め、約5万人分受け皿を確保します。
待機児童問題の背景の一つに、保育士を十分に確保できていないことが挙げられます。施設を新設しても、保育士が集まらず定員を縮小せざるを得ないケースがあります。保育士不足の理由として、平均賃金の低さが指摘されています。全職種の平均賃金は月33万3000円ですが、保育士は月21万9000円と、大きく下回っています。
そこで、今年度の予算に保育士給与の約2%(月額約6000円)引き上げが盛り込まれました。さらに、中堅・若手向けの役職を新設し、研修の修了などを条件に、勤続年数がおおむね7年以上の職員に月額4万円、同3年以上の職員には月額5000円が上乗せされます。
さらに、政府は6月2日、新しい計画として「子育て安心プラン」を発表しました。2018年度からの3年間で保育の受け皿を新たに22万人分確保し、遅くとも2020年度末までに待機児童ゼロを達成することが目標です。
プランではさらに、20年度末から22年度末にかけて、10万人分の受け皿を増やします。女性の就業率が16年の72.7%から、80%まで上昇した場合でも対応できるようにするためです。
具体的には、高騰する保育施設の賃借料を補助することや、大規模マンションでの保育所の設置を進めることなどを掲げています。これらは、昨年3月に党待機児童対策推進PTが提言した内容が反映されたものです。
東京都は月額2万円超上乗せ
東京都は今年度予算で、1人当たり2万3000円相当の保育士に対する独自の賃金補助に、さらに2万1000円を上乗せします。保育の受け皿拡大について都は、今年度に新たに1万8000人分を整備。19年度末までに合計で7万人分を確保する方針です。都議会公明党は、議会質問や小池百合子知事への政策提言で、保育士の処遇改善を強く要望していました。
東京都豊島区は5月24日、同区の待機児童が4月1日時点でゼロになったと発表しました。同区は認可保育所や小規模保育所を整備し、3年間で定員を2028人増やしました。また、保育の需要が年々高まっていることから、来年度に向けて認可保育所を最低でも13カ所(定員780人以上)新設する方針です。公明党は、都が進める空き家・空き室を活用したスマート保育所(小規模保育所)の都内第1号を同区内に設置するなど、一貫して対策を推進してきました。