党女性委など合同会議で講演から
株式会社MAIA代表 月田有香氏
公明党の強い要望により、政府は4月26日、女性がデジタルスキルを身に付け、柔軟に働けるための「女性デジタル人材育成プラン」を取りまとめました。これを受け、党女性委員会(委員長=古屋範子副代表)は5月2日、党デジタル社会推進本部(本部長=大口善徳衆院議員)と合同会議を開催。女性デジタル人材の育成に関して、株式会社MAIA代表の月田有香、PwCコンサルティング合同会社パートナーの鈴木雅勝、SAPジャパン株式会社常務執行役員の大我猛の各氏らから話を聞きました。この中から、官民連携の取り組みなどについて月田氏の講演要旨を紹介します。
"一人前"へ中間就労が重要
党合同会議で講演を聞く古屋委員長(左端)、竹谷とし子女性局長(右隣)=2日 党本部
私たちの会社は、2017年に創業したベンチャー企業です。「女性活躍」「地方」「IT(情報技術)」の三つを組み合わせて、新しい価値をつくることを目標に、女性の就労支援に力を入れています。
日本における女性の取り巻く現状
女性を取り巻く環境は、働き方と地方、コロナ禍の観点から深刻さを増しています。私たちは、こうした課題を解決したいとの思いで取り組んでいます。
具体的には、人材不足とされているデジタル分野において、女性の就労支援を行っています。ポイントは、育成した人が必ず就労できるよう、入口から出口までの一気通貫による支援です。
従来のデジタル分野における女性の就労は、即戦力を求める企業と、育成されたばかりの女性との間でギャップが生じていました。
そこでMAIAでは、女性を育成した後、実践的なスキルを身に付けるための中間就労(ワークシェアリング型OJT)期間を設け、"一人前"になるまでサポートしています。
さらに、女性がライフスタイルに合わせて柔軟に就業を継続するためには、テレワークを視野に入れたフリーランスや副業、兼業など多様な働き方がカギとなるため、それらに対応できる人材育成支援を実施しています。対象者は、働く意欲があればIT初心者でもOK。キャリアアップを後押しします。
官民連携の取り組み不可欠
「女性の活躍」を推進するには企業の協力が不可欠で、そのための仕組みづくりや地域における官民連携の取り組みが必要です。そこで、MAIAが関わる自治体の先進事例を紹介します。
山形県酒田市の産業振興まちづくりセンター「サンロク」は、施設内にコワーキングスペース(共同利用が可能なオフィス)があり、市から委託を受けたMAIAが、そこに集う女性にデジタル教育を実施。育成した女性と共に市内企業に対し、パソコンを使う単純な作業を自動化する「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)の導入を進めています。この仕組みが、地方の中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進につながっています。
また長野県塩尻市では、市振興公社の「KADO」事業で、MAIAと連携しテレワークによる、ひとり親向けの就労支援などを行っています。公社が企業や自治体から業務を受注し、KADO登録者の能力や希望に応じて、デジタル分野の仕事を割り振っています。自治体のDX推進は、育成した女性が働ける大きな出口となる可能性があります。
続いて、沖縄県の事例です。同県はシングルマザーの割合が高く、平均年収も他県と比べ低いため、賃金アップと離職率の抑制が望まれています。そこでMAIAでは、RPAやSAP(基幹システム)人材の育成に力を入れています。その際、沖縄市や南城市、糸満市など、さまざまな自治体と連携しながら女性デジタル人材の育成と就労支援を行っています。
女性の就労で重要なのは、自立しようとするマインド(意志)です。そのためのキャリアプランなどを一緒に考えることが大切です。また女性が自立するには初期費用も必要なので、行政などがどのように支援するかが今後の課題になります。
デジタルトランスフォーメーション
人工知能(AI)や最新の情報通信技術、クラウドサービスなど、総合的なデジタル技術を活用して新しいビジネスやサービスを創出し、競争力を高めること。