ズバリ聞きます!
答える人
党食品ロス削減推進プロジェクトチーム座長(参院議員) 竹谷とし子さん
まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」。この発生量(推計)を2030年度までに00年度比で半減させる政府目標(計489万トン)が、8年前倒しの22年度(計472万トン)に達成していたことが分かりました。その要因などを公明党食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)の竹谷とし子座長(参院議員)に聞きました。
食品ロス発生量の推移
Q 8年前倒しの要因は
A 事業系の排出量が大幅減 商習慣の見直しなど奏功
アスカ "8年前倒し"で削減目標達成の要因は。
竹谷 食べ残しや賞味期限切れなどによる食品ロスは、00年度に事業系で547万トン、家庭系で433万トン、計980万トンでした。それが22年度には、事業系、家庭系ともに236万トンの計472万トンに減り、事業系は半減目標をクリアしました。事業系が大幅減になったのは、コロナ禍で外食市場が縮小した影響もありますが、生産から流通、小売りに関わる事業者の意識が「食品ロス削減推進法」の制定(19年)で変化し、多彩な取り組みが積み重ねられた結果だとみられます。
アスカ 具体的にはどのような取り組みですか。
竹谷 例えば、製造日を基準に賞味期限までの3分の1が過ぎると納品できず、さらに3分の1を過ぎると店頭から撤去する「3分の1ルール」という商習慣の見直しが進み、「売り切り」への取り組みが広がっています。消費・賞味期限が近づいた食品を全て廃棄していたコンビニでも、値引き販売が行われています。消費者の協力も得て、陳列商品を期限の近いものから取る「てまえどり」の普及も後押しとなっています。
公明党食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)竹谷とし子座長(参院議員)
Q 今後の課題をどう見る?
A 家庭系の削減加速に向け食品寄付の普及が必要
アスカ 今後の課題は。
竹谷 各家庭でも、さまざまな努力をしていただいていますが、家庭系での半減目標達成には、さらに20万トンの削減が必要です。
生活者に身近な自治体の取り組みが、ますます重要になってきます。例えば、家庭で余った食品の寄付を募り、困窮世帯などに届ける「フードドライブ」は、その一つであり、さらに普及させていきたいと考えています。
一方、単身世帯の増加を踏まえ、生鮮食品を3個パックではなく1個単位で販売するような事業者側の工夫を促す必要もあります。
アスカ 各家庭で注意すべきことは。
竹谷 「食品を買い過ぎない」「料理を作り過ぎない」という地道な取り組みが一番です。よく使われる、もやしや納豆などは冷凍すれば長持ちしますし、保存の方法も含めて、正しい知識の普及が必要です。
消費者庁が作成した冊子「計ってみよう! 家庭での食品ロス」には、▽使い切れる分だけ買うポイント▽食べ切るための料理テクニック▽冷蔵庫の整理整頓・保存術――が紹介されており、活用してほしいです。
Q 公明党の取り組みは
A 国民運動化へ法整備推進 経済損失額の公表も実現
アスカ 食品ロス削減への公明党の取り組みは。
竹谷 SDGsの具体的な取り組みとして、15年に食品ロス削減推進PTを設置し、16年には党東京都本部女性局を中心にキャンペーンを行うなどリード役を果たしてきました。
19年には、国民運動として取り組むための食品ロス削減推進法(議員立法)の制定を主導。政府が昨年末に策定した、食品ロスに関する新たな施策パッケージにもフードバンクの体制強化も含め、公明党の主張が大きく反映されています。
さらに公明党は、食品ロス削減をより"わがこと"として考えてもらうため、経済や温室効果ガスに及ぼす影響を明らかにするように国へ提案。その結果、消費者庁は昨年12月、21年度の食品ロスによる経済損失が年間4.3兆円、温室効果ガスの排出量が1138万トンにも上るとの推計を初めて明らかに。まさに、食品ロス削減は地球規模の課題だと示されました。
アスカ 今後の決意を。
竹谷 国と地方の議員ネットワークをさらに強め、食品ロス削減を進めます。