公明新聞:2018年5月2日(水)付
若者の予期せぬ妊娠について実情を聞いた党女性委のメンバーら=2016年12月 参院議員会館
学業継続の支援強化
公明推進で文科省
佐々木さんの質問に政府 退学勧奨に「従う義務ない」
文部科学省は公明党の推進で今年度から、妊娠した女子高校生の学業継続支援を強化している。体育の授業で実技の代わりに課題リポートの提出や見学を認めるよう、昨年度末に都道府県・政令市の教育委員会などに通知した。
この通知の背景には、妊娠を理由にした高校側からの退学勧奨が今なお行われていることがある。文科省は高校生の妊娠と退学に関する実態調査を初めて実施。その結果、2015、16年度の2年間で、妊娠や出産を理由に学校から退学を勧められ、自主退学したケースが全日制と定時制で計32件あった。うち18件は学校生活の継続や休学などを希望しており、通知では安易に退学を勧めないよう求めている。
ただ、同省は「教育的な配慮から自主的な退学の勧奨を行うことはあり得る」との姿勢を崩していない。このため4月10日の参院文教科学委員会で公明党の佐々木さやかさんが、「退学を勧めるのはどういう根拠に基づくものか。生徒側は断ることはできるのか」と質問。政府側から「法令上の根拠はなく生徒が従う義務は生じない」(文科省の?橋道和初等中等教育局長)との答弁を引き出した。
通知では、母子ともに安全な環境で学習しやすくするため、現場の創意工夫による柔軟な対応を促している。体を動かす授業では代わりの方法を用意するほか、スクールカウンセラーによる心のケアなど十分な支援を求めた。
妊娠で退学を決めた生徒のサポートも要請。既に退学した生徒には、過去数年間にさかのぼって実家に進路状況を問い合わせ、復学を望んでいれば、授業料に充てる就学支援金を案内するなど、情報提供の充実を想定している。
妊娠した女子高校生の学業継続の支援については、公明党女性委員会の子ども・若者支援プロジェクトチーム(佐々木座長)が16年12月、若者の予期せぬ妊娠や出産の悩みなどに関する相談支援を行う「にんしんSOS東京」(中島かおり代表理事)から実情を聞くなどして、推進してきた。