高校生の妊娠で文科省が通知
安易な「退学勧奨」行わず
体育の実技はリポートで代替
若者の予期せぬ妊娠について実情を聞いた党女性委のメンバーら=2016年12月 参院議員会館
文部科学省は今年度から、妊娠した女子高校生の学業継続支援を強化しています。支援を推進してきた公明党の取り組みについて、党員の公恵さんと明子さんが友人の友美さんに語っています。
公恵 文部科学省は3月末、女子高生が妊娠した場合、学校側が安易に退学の処分や、退学を勧める勧奨を行わないよう求める通知を全国の都道府県教育委員会などに出しました。
友美 どうしてそういう通知が出たの?
明子 文科省がこのほど実施した調査の結果を踏まえたものよ。調査では、全国の公立高校で2015?16年度に、妊娠や出産を理由に学校から退学を勧められ、生徒が自主退学したケースが全日制と定時制を合わせて計32件あったことが分かったの。
公恵 そのうち18人は、通学の継続や一時的な休学を求めていました。生徒の希望に反して、退学せざるを得なかったケースがあると思われます。
友美 学校はどうして退学を勧めたのかしら?
明子 理由として「母体の状況や育児を行う上での家庭の状況から、学業を継続するのが難しい」が18人、「学業継続が、他の生徒に対する影響が大きい」が5人、「学校における支援体制が十分でなく、本人の安全が確保できない」が8人などだったわ。
公恵 15?16年度の2年間で、学校側が妊娠を把握した生徒は全日制、定時制を合わせて計2098人で、674人が自主退学していました。
友美 本人が学業の継続を望むなら、できる限りサポートしてあげるべきだと思うわ。
明子 調査では、産前産後を除き、通学を続けた生徒は778人。他に、休学が188人、転学が178人だったわ。
友美 学業を継続できた生徒もいるわけね。
公恵 10代で妊娠し、高校を卒業できなかった女性は安定した職業に就くことができず、貧困に陥ってしまうことが懸念されています。それを防ぐためにも、できる限り中退とならないよう支援していく必要があります。
明子 文科省の通知では、安易に退学勧奨を行わないことの他に、学校での学業継続、学業の継続を前提とした転学、休学を支援することや、そのための情報提供を行うよう求めているの。養護教諭やスクールカウンセラーによるケアにも言及しているわ。
公恵 また、体育の実技については、リポートの提出や見学で代替するなど、母体に影響を与えない対応を行う必要があるとしています。さらに、中退した場合でも、再び高校で学ぶことを希望する人に対しては高校生等就学支援金の対象になることを伝えるなどの支援を要請しています。
友美 重要なことね。
明子 一方で、妊娠すれば学業が遅れたり、進路を変更しなければいけなくなることもあるわ。通知では、生徒が性に関して正しく理解し適切な行動を取ることができるよう、必要な指導を授業などで行うことも求めているの。
公明プロジェクトチームが対策リード
友美 公明党の取り組みは?
公恵 文科省が行った高校生の妊娠と中退に関する調査の結果を受け、公明党の佐々木さやか参院議員が4月10日、参院文教科学委員会で質問に立ちました。佐々木さんは退学の勧奨が行われていることに懸念を示し、「退学を勧めるのはどういう根拠に基づくものか。生徒側は断ることができるのか」と質問。文科省初等中等教育局長から「法令上の根拠はなく、生徒が従う義務は生じない」との答弁を得ました。
友美 希望すれば学業を続けられることが明確になったのね!
明子 学業継続支援については、党女性委員会の子ども・若者支援プロジェクトチーム(佐々木座長)が16年12月、若者の予期せぬ妊娠や出産の悩みなどに関する相談支援を行う「にんしんSOS東京」(中島かおり代表理事)から実情を聞いていたわ。この中で団体側から、「妊娠した女子高生の学習権を保障してください」などの要望を受けていたの。
友美 現場の声を形にしたわけね。母子の安全を守り、貧困を防ぐためにも支援の充実をお願いしたいわ。