公明新聞:2018年1月18日(木)付
農産物の国際競争力強化に向けて、大田市場を視察する公明議員=昨年5月12日 東京・大田区
17年、8000億円台の勢い
諸外国の輸入規制撤廃進む 牛肉や緑茶が けん引
公明、競争力強化を後押し
2017年の農林水産物・食品の輸出額が、過去最高を更新することが確実視されている。
農水省は12日、昨年1?11月の農林水産物、食品の輸出額が前年同期比6.8%増の7158億円だと公表した。これまでの最高額だった16年の年間実績7502億円を上回る勢いで、来月上旬にも発表される17年の通年実績は、初の8000億円台が期待される。
けん引役は牛肉だ。01年の牛海綿状脳症(BSE)問題で中断した台湾への輸出が17年9月に解禁されたことを追い風に、1?11月の輸出額は前年同期比42.2%増の約162億円となった。また、健康志向の高まりを背景に、緑茶は前年同期比26.3%増の約130億円。農産物の中で最も伸びたイチゴは前年同期比59%増の約15億円だった。
政府は農林水産物と食品の輸出額を19年に「1兆円」まで増やす目標を掲げる。目標達成のカギは、各国の輸入規制を、どれだけ緩和・撤廃できるかにある。
11年の東京電力福島第1原発事故後、54カ国・地域が日本産品の輸入を規制していたが、政府や自治体の取り組みの結果、現在までに26カ国が規制を完全撤廃。昨年12月には欧州連合(EU)が、福島県産米を含む10県の農水産品の一部または全ての規制を対象から除外。放射性物質に関わる検査証明書の添付が不要となり、煩雑な手続きが省けるようになった。
農水省輸出促進課は「日本産品輸出の機運が高まっている。特にEUが福島県産の安全性を認識したことは、地元にとって"大きな力"だ」と強調する。
民間の取り組みも加速している。
全国農業協同組合連合会(JA全農)は12日、5億人の利用者がいるといわれる、中国のネット通販最大手のサイトで、日本産米の販売を始めたと発表した。巨大な中国市場に対する関係者の期待は強い。一方で、中国では日本の一部産地に対して規制が続いており、規制の緩和・撤廃に向けた政府間協議の進展が期待されている。
公明党は、14年に稲津久衆院議員が、16年には富田茂之衆院議員が委員会質疑で、輸出規制の撤廃を諸外国に働き掛けるよう政府に要望。また、昨年5月の政策提言で、輸出拠点の整備を政府に求めたほか、党の国・地方議員が精力的に卸売市場や精米工場を視察するなど1兆円の輸出目標の実現に全力で取り組んでいる。