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【対談】日本公認会計士協会 東京会 元会長 神山敏夫氏

【プロフィール】
中央大学商学部卒。公認会計士。税理士。東京家庭裁判所家事調停員。神山公認会計事務所代表。これまで、日本公認会計士の東京会会長、文部科学省の独立行政法人評価委員などを歴任。著書に『公益法人監査ガイドブック』(税務経理協会)、『自分の会社で大儲けできる人損する人 』(太陽企画出版)など。

雇用創出が最重要課題

竹谷

一昨年から日本経済は、リーマンショックを機に低迷期に入ってしまいました。

神山

経済そのものについていえば、確かに不況かもしれませんが、労働の場所、雇用の機会そのものがなくなったことのほうが大きいのではないかと思います。

竹谷

今、日本経済にとって一番大事なものは何だろうと思った時に、まずは雇用、そして人材育成だと思います。

神山

私もそう思います。やっぱり人間は、仕事がないということが一番つらいわけです。それをどうするかというと、再教育なり、日本人に合うような教育も含めて、雇用の機会を作っていくことが大事ではないかと思います。

竹谷

社会に認められると、自分の生きがいというものも出てきますよね。

神山

自分を生かしていけるというのは、そういう場所があるということだと思います。

竹谷

私の両親は、北海道で水産加工の町工場を経営しています。目の前に国後島が見える港町(標津町)で、サケやホッケがとれます。家の町工場で仕事がない時には、親がパート収入で時給500~550円という中で働いて、生活を切り詰めて教育を受けさせてもらいました。不安定な経済状況の中で子どもを育てていくということが、どれだけ大変かということが身にしみて分かっています。

神山

この20年ぐらいというのはバブルがはじけて、日本経済がずっと落ちてばかりきました。

竹谷

まさに私が大学を卒業したころから、ずっとそうですね。

神山

将来への不安要因をなくしていくには、継続した雇用があるということが大事だと思います。先までの見通しがあるから、頑張れるんだろうと思うんですよ。

竹谷

たとえお金を借りても、返せると思えれば頑張れますよね。

神山

若者たちにとって、将来への希望がもてるような社会が大事だと思います。

竹谷

国の最大の財産は、「人」だと思います。

神山

私もそう思います。まして日本は、石油とか大きな資源がないわけですから。

竹谷

人に対する「教育」「人材育成」、そしてその人が社会の中で接点を持って、生きがいを持っていくための「仕事づくり」というのが、国にとって今一番大きな仕事なのではないかと思います。

財政の「見える化」を目指す

神山

国の借金が、現在約900兆円です。大変な大借金の中で、92~93兆円の予算を組んで、その半分以上が国債発行ということは、また借金が増えていくということです。それがいいかどうかというよりも、「こういうふうにやることによって、こうなりますよ」と先が分かれば、今、借金したって構わないわけですね。

竹谷

「将来に対する投資です」「必ず回収します」と言い切ることができれば、国民の皆さまも納得できるし、安心できると思うんです。

神山

若者たち、あるいは家族をもって一生懸命やっている40代や50代の方々も、自分たちが今、努力することによって、将来的には子どもの教育とか、年金とか、そういう見通しがきちっとあればいいわけです。

それと、公会計の問題ですね。我々は企業会計で上場会社の監査を行ったり、貸借対照表・損益計算書、貸方・借方という一つの簿記の原理を活用していて、大企業であっても、財務諸表を通して見ればその会社の内容が分かってきます。

しかし、国の歳入・歳出は、「収入がありました」「支出がありました」ということだけですから、支出したものが、どうやって残っているのかということや、今年も借金をしたけど、累積ではどれだけあるのかというのが分からないんです。

竹谷

そこが問題ですね。「国債はいくら発行しています」「資産もいくらあります」ということが、合わせて見えないと分からないわけですね。

神山

そういうことについて、「どうせ国民に言っても分からんだろう」という姿勢ではなくて、きちんと分かるように、時々は新聞の全面に出すぐらいにしてもらいたいですね。

竹谷

私がやりたいと思っていることは、国の財政の「見える化」をするということです。先々のビジョンをしっかりと打ち出して、そのために「こういうことをやっていきます」「今年はこの予算でいきます」「この予算を実行したあかつきには、こういう効果を期待しています」ということを国民の皆さまに分かっていただけるようにする。

そういう国の会計を説明手段として使いながら、国民の皆さまの政府だと思いますし、国の予算ですので、税金を出してくださる皆さまが納得のいく使い方を決めたうえで、それを共有したいと思います。

神山

竹谷さんは公認会計士であり、海外でもいろいろなプロジェクトに携わってこられました。事業計画などを作ったり、チェックしたりしていますから、そういう経験を大いに生かしていただきたいと思います。

竹谷

きょうは大変にありがとうございました。全力で頑張ってまいります。

神山

頑張ってください。

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