本格的な受験シーズンが近づく中、例年、受験生の弱みにつけ込んで、痴漢行為をあおるSNSの投稿などが問題になっています。そこで、痴漢被害の現状や対策のポイントとともに、公明党の取り組みを紹介します。
■若年層の10人に1人が被害
痴漢は、重大な犯罪であり、個人の尊厳を踏みにじる行為として断じて許されません。しかし、大変残念なことに、特に若年層の女性にとっては身近な性暴力となっています。内閣府の調査(2022年)によると、16?24歳の女性の10人に1人以上が被害に遭っているとされています。また、東京都で検挙された痴漢のうち、被害者の4分の3以上が10代・20代の若年層でした。
警察庁によると、22年における痴漢の発生場所は「電車等」が最も多く、全体の4割を超えています。こうした中、受験シーズンにおいては、電車で試験会場に向かう受験生を狙った被害が相次いでいます。遅刻を避けるために受験生が泣き寝入りするケースが多いためで、行為をあおるSNSの投稿も見受けられます。
■実態把握や再犯防止など公明提言が政府の政策に
日本若者協議会の室橋祐貴代表理事(中央)から要望を受ける竹谷女性委員長(左隣)、国重青年委員長(右隣)ら=11月17日 参院議員会館
痴漢対策を巡っては、公明党の提案を受け、政府は「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」を今年3月にまとめています。同パッケージでは、対策を進める上で「痴漢は重大な性犯罪である」「痴漢の被害は軽くない」など5項目の基本認識を提示しました。
その上で、今後の取り組みとして「痴漢を防ぐ」「加害者の再犯防止」「被害者支援」など五つの柱の下、具体的な施策が掲げられました。被害の実態把握や再犯の防止といった、党女性委員会(委員長=竹谷とし子参院議員)や同青年委員会(委員長=国重徹衆院議員)などが要望した内容が随所に盛り込まれています。
また、同パッケージの策定に当たり公明党は、若者の声を政策に反映させる活動に取り組む「日本若者協議会」や関係府省庁と協議を重ね、内閣府特命担当相に要望書を提出。その結果、当事者の声が政策パッケージに大きく反映されました。
さらに、党女性委と同青年委は11月、日本若者協議会から、受験生を狙った痴漢防止に向けた要望を受けました。同会は、電車内・駅構内でのアナウンス強化や、女性専用車両の拡大、電車内への防犯カメラ増設を要請したほか、私服で受験しても良いことの周知徹底なども提案しました。
これらの要望を受け、党女性委の佐々木さやか女性局長(参院議員)は、「痴漢撲滅に向けた政策パッケージが策定されて初めての受験になるため、痴漢被害ゼロをめざしていきたい」と強調しました。公明党は引き続き、同パッケージの具体策に地方議員と共に取り組み、着実に進めていく方針です。
■「女性専用車両」、全国各地で導入
公明党が長年推進してきた「女性専用車両」は、05年5月に首都圏の鉄道大手9社などで一斉に導入されて以降、今年3月時点で全国32事業者、91路線まで広がっています。
また、東京都では18年ぶりに都営大江戸線に女性専用車両を拡大するなど、各地で痴漢撲滅に向けた対策が進んでいます。
電車利用時に気を付けるポイント
●友達や親などと一緒に乗る
●受験生と特定されないよう私服で行く
●逃げ道のないドア付近や連結部分は避ける
●女性専用車両を選ぶ
●人目につきやすい座席エリアの近くを選択する
今年1月の大学入学共通テスト前には、警視庁や鉄道事業者などが受験生ら利用客に痴漢への注意を呼び掛けていました。
また、マスコミなども、受験生が電車に乗って試験場に向かう時に気を付けるべきポイントを紹介。例えば、「NHK首都圏ナビ」のサイトで1月13日に配信された記事では、友達や親などと一緒に乗る▽受験生と気付かれないよう私服で行く▽女性専用車両を選ぶ――などを例示。電車内の立ち位置については、死角になりやすく逃げ道のないドア付近や連結部分は避け、人目につきやすい座席エリアの近くを選択するといった点を勧めています。