エステサロンなどでの「ハイフ施術」の被害防止へ
顔のまひ、やけどなど
身体事故が増加傾向に
フェイスラインなどのシワやたるみを改善しようと、「ハイフ(HIFU)」(メモ)と呼ばれる超音波機器を用いた美容施術を受けたものの、身体にやけどなどの被害が残るケースが相次いでいます。ハイフ施術のリスクを解説するとともに、被害防止へ対策強化を求める公明党女性委員会の取り組みについて、竹谷とし子委員長(参院議員)のコメントを紹介します。
身体事故の具体例
ハイフ施術を巡っては、近年、特にエステサロンでの身体事故が増加しています。そもそも同施術は、解剖学などの専門知識を持つ施術者が患者に合わせて機器の出力や照射方法を調整しないと、皮下の神経や血管などを損傷するリスクがあります。
こうしたことから、消費者庁は2021年7月から、ハイフ施術の被害に関する調査を実施。その結果、顔の神経損傷による、まひやしびれ、皮膚障害、熱傷、急性白内障などが生じる恐れがあるとして、23年3月、「エステティック業界に対して、早急かつ広範に注意喚起を行う必要がある」などの意見を関係省庁に伝えました。
これを受け、エステティック業界の主要団体は、自主基準によりハイフ施術を禁止していますが、業界団体に非加盟の店舗では今なお行われていると考えられています。
市民相談きっかけに政府に対策強化要請
党女性委員会 竹谷とし子委員長(参院議員)
伊佐進一厚生労働副大臣(当時、中央右)にハイフ施術の被害防止対策の強化を要望する党女性委員会のメンバーら=9月7日 衆院第2議員会館
医師ではない者によるハイフ施術で身体被害が報告されていることについて、消費者庁をはじめとする関係機関は、数年前から危険性の周知を行っていますが、事故が増えている現状を強く危惧しています。
成人年齢が18歳に引き下げられたこともあり、若い世代が美容施術トラブルに巻き込まれるケースは少なくありません。特に脱毛や痩身など美容に関するトラブルは、相談するには心理的なハードルが高く、泣き寝入りしている人が多くいると思います。
こうした中で、ハイフ施術の被害防止に向けて、公明党は市民相談をきっかけに、国と地方の連携プレーで対策強化に取り組んでいます。
具体的には、今年7月4日、公明党の北岡綾子・豊島区議から、「地域に住む若い女性がハイフ施術の操作ミスでやけどを負い、長橋桂一都議にも相談をして警察や保健所に行ったが、十分には対応してもらえなかった」との報告を受けました。
そこで、即座に厚生労働省に対し、施術の被害について見解を問い合わせたところ、厚労省は同11日、厚生労働科学研究でハイフ施術における人体への侵襲性の評価研究を行っており、来年6月をめどに報告書が提出されると回答しました。
一方で、厚労省が研究している間にも被害が拡大する可能性が高いため、党女性委員会などが中心となり、対策強化を求める要望書を作成。9月7日、関係省庁に申し入れを行いました。
ハイフ施術者の基準を的確に規定するなど実効性のある施策を検討するよう要請したほか、施術によるリスクが利用者に十分に伝わっていないことを踏まえ、SNSなどを活用し、若者ら消費者に注意喚起を徹底するよう求めました。
今後、SNSを活用した行政による発信力の強化や、トラブルに巻き込まれないための消費者教育を推進するとともに、いざというときの相談窓口の設置など、若い世代に寄り添った対応を進めていきたいと考えています。
また、公明の地方議員の皆さまには、無資格者によるハイフ施術の危険性について、自治体や地域などでも周知に取り組んでいただきたいです。併せて、被害を受けた際の相談窓口(地方自治体が設置している消費生活センターや消費生活相談窓口)の周知もお願いできればと思います。
ハイフ(HIFU)
消費者庁によると、レンズで焦点を合わせるように、超音波を皮膚表面から数ミリ深い場所に集中して照射し、その部分を高温に加熱する(高密度焦点式超音波)施術。前立腺がんの治療などに使用される。この技術が美容施術に転用されている。