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2023.01.01
公明ニュース

誰もが輝く未来めざして

公明、全世代型社会保障へ総力

少子化が加速し、高齢者人口がピークを迎える「2040年問題」をどう乗り越えるか。公明党は、諸課題の解決に向けた新たな構想「安心と希望の『絆社会』 2040ビジョン」(仮称)の23年度中の策定へ、昨年12月に「ビジョン検討委員会」(委員長=石井啓一幹事長)を立ち上げた。先行して発表した「子育て応援トータルプラン」も含め、誰もが輝く未来をめざし、将来にわたって持続可能な全世代型社会保障の構築に総力を挙げていく。

直面する2040年問題
高齢者人口ピーク迎え、現役世代の負担は増大

65歳以上の高齢者人口の推移

2040年は、1971年から74年生まれの団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎える年である。

総務省が「敬老の日」前日の昨年9月18日に発表した統計では、2040年に、65歳以上の高齢者人口が3921万人に達するという見通しが示されている。昨年の65歳以上の高齢者人口の推計値である3627万人から、40年には、さらに300万人近く増えることになる。

総人口の推移

一方、少子化の影響で、総人口は減少の一途をたどっている。内閣府がまとめた22年版高齢社会白書によると、40年の総人口は、1億1092万人に落ち込むという。このため、65歳以上の高齢者人口が占める割合は35.3%に上る。

ただ、同白書の推計値よりも総人口が減少し、少子高齢化に一層の拍車が掛かる可能性もある。厚生労働省によると、昨年の子どもの出生数が、明治時代に統計を取り始めて以来、初めて80万人を割り込む見込みであり、今後も子どもの出生数が減っていくのではないかと懸念されているためだ。

当然、働き手とされる15歳から64歳までの「現役世代」(生産年齢人口)も減少する。22年版高齢社会白書によると、21年の時点で現役世代人口は7450万人だが、40年になると5978万人に減ると推計されており、1人の高齢者を約1.5人の現役世代で支える時代が到来する。年金や医療、介護などにかかった昨年度の社会保障給付費は約131兆円だが、厚労省によると、40年には190兆円に増える見通しだという。

こうした中、どうすれば安心の社会保障制度を維持できるのか。解決すべき課題は多い。

"絆ビジョン"23年度中に策定へ
先行き不安解消し安心と希望を

2022年12月22日に開かれた党ビジョン検討委の初会合

2040年問題の克服に向けて公明党は、昨年9月の党全国大会で、「安心と希望の『絆社会』 2040ビジョン」(仮称)を23年度中をめどに策定すると発表した。

「絆社会」とは、皆が互いの個性を尊重し合い、支え合うことで人々の結び付きを強める社会のことだ。

その構築により、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、誰もが、それぞれの能力や特性に応じて力を発揮し働ける「包摂的な社会」をめざす。これにより、結果的に国の持続的な成長が担保される。

この点については、14年の主要20カ国・地域(G20)の労働雇用大臣会合の席上、リーマン・ショック後に経済を再建できた国の成功要因として指摘された。

また、国連のSDGs(持続可能な開発目標)にも「包摂的かつ持続的な経済成長」がうたわれている。「包摂」は、少子高齢化と人口減少が進む日本の未来を考える上での重要な視点である。

「給付」「負担」とも改革の方向性示す

ビジョン策定に当たっては、教育や医療、介護などの望ましい給付のあり方、各分野の効率化や改革の優先順位などについて検討する。その上で、財源や負担のあり方に関して議論し、40年までの改革の流れを示す包括的なビジョンとして仕上げる方針だ。

これまでも公明党は、社会保障の将来像を示す構想として「福祉社会トータルプラン」(1976年)、「21世紀トータルプラン」(89年)、「少子社会トータルプラン」(2006年)を発表してきた。

子どもからお年寄りまで必要な支援が行き渡る全世代型社会保障の構築に向けた取り組みである。

さらに公明党は、国民の先行き不安を解消し、安心と希望をもたらすため、確かな将来ビジョンの策定をめざす。

「包摂」の視点で社会を転換
保障すべき"絆"の説明が重要
宮本太郎・中央大学教授

宮本太郎・中央大学教授

2040年問題が議論されるようになって久しい。しかし、対応が進まぬまま高齢化がピークに達するこの年に近づいているのが現状ではないか。

人口減少や孤独・孤立化、多死社会の到来など問題は山積している。この100年間の日本の総括とも言うべき2040年を乗り越えていくためのビジョンが早急に求められている。そのようなビジョンのカギになるのが、「包摂」の視点だろう。

包摂とは、年齢、性別、障がいの有無などを問わず、皆がつながりを持ち、それぞれの力を発揮しながら活動的な人生を送ることができる条件を提供することだ。誰も排除されず絆が保障される社会といってもよい。

そのためにも、職場であれ地域の居場所であれ、社会そのものが誰にも開かれた、より包摂的な社会へと転換していくことが大事だ。

公明党は2040年に向けたビジョンの策定に際して「絆社会」の構築を掲げたが、こうした観点から期待している。提起に当たっては「絆社会」とはどういう絆を保障する社会かを説明していくことが重要だと思う。

一つは「さまざまな場所で結ばれる絆」だ。就労のつながりは大切だが、人々をつなげる絆は働く場だけではない。多様な家族のかたちや「第三の場」となる地域コミュニティーも大切だ。また貧困は絆を失うきっかけとなるため、対策が不可欠だ。

二番目は「お互い様の絆」だ。特定の人が一方的に世話や保護を受ける発想ではなく、互いの絆の中で誰もが自分自身の役割が持てて、自己肯定感が高められる関係を構築したい。

三番目は「選択可能な絆」だ。絆は幸福の源だが、つながり方の歪みは人を傷つけることもある。多元的なつながりの中で絆を選べることが求められる。

こうした絆づくりに向けて「地域共生社会」の取り組みも進行中だ。絆づくりと支え合いの支援で老若男女を問わず「元気人口」を増やす取り組みで、「絆社会」への出発点だ。

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