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2022.08.18
公明ニュース

女性デジタル人材の育成へ

先進的な取り組みから

長引くコロナ禍は、特に飲食業などで働く非正規雇用の女性たちに大きな影響を及ぼした。一方、デジタル分野は雇用が増加しており、経済産業省はデジタル人材が2030年に最大79万人不足すると試算している。そうした状況を踏まえた公明党の要請を受け、政府は4月に「女性デジタル人材育成プラン」を策定し、官民連携の取り組みを打ち出した。先進事例を紹介する。

■兵庫・豊岡市 受講生、ネット販売で起業

兵庫県北部に位置する豊岡市では、21年度から「働きたい女性のためのデジタルマーケティングセミナー」を実施している。「デジタルマーケティング」とは、インターネットを活用した宣伝によってビジネスチャンスを広げる手法だ。

講義を担うIT企業「ノヴィータ」(本社・東京都)の小田垣栄司会長は「デジタルマーケターの分かりやすい職種はネットショップの店長。受講生には自分が作ったり仕入れた物を売りたいという人が多い」と語る。

昨年度の受講生Aさん(35)は飲食業などを経て、19年にアクセサリーをネット販売するセレクトショップを立ち上げた。「独学でやっていたが、セミナーを受けて利用者の目線で文章や構成を意識できるようになった」と語るAさん。以前よりホームページやSNSへの反響が増えたという。その他の受講生も、ネット販売で起業したり、会社に就職するなど進路が広がった。

今年度のセミナーでは、週2、3回(1回3時間程度)のオンライン講義を5カ月間受講する。録画された授業を視聴する「オンデマンド式」のため、好きな時間に勉強できる。月1、2回程度、対面形式も実施する。

対象者は市内在住で家にノートパソコン、ネット環境のある女性で、受講料は無料。今年度は30?50歳代の10人が選ばれた。財源には国の地域女性活躍推進交付金と、ふるさと納税を活用している。

■愛媛県 人気技能をオンライン学習

「デジタルと女性は相性がいい」。そう強調するのは、女性デジタル人材の育成と就労支援を行う株式会社MAIAの月田有香CEO(最高経営責任者)だ。

MAIAは5月、少額融資で個人の自立を促す「グラミン日本」と、世界的IT企業「SAP社」(本社・ドイツ)の日本法人の3者で「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」を設立。愛媛県と連携協定を締結し、3年間で500人の育成をめざす「愛媛でじたる女子プロジェクト」を開始した。

対象は県内在住の女性で、受講料はコースで異なるが10万円程度。経済的に厳しい場合は、グラミン日本から低利・無保証で融資を受けられる。

第1期生として22人が選考され、約4カ月間にわたるオンライン学習が始まっている。ITの基礎などを学んだ後、3コースに分かれて専門的技能を身に付ける。このうち「SAPコース」では、国内外でトップクラスのシェアを占めるSAP社の企業向け業務システムの導入や運用サポートについて訓練を受ける。

月田CEOは「SAPエンジニアは人材の奪い合いで単価が高い。テレワークで、地方にいながら東京の案件を受けることもできる」と話す。

受講後は、各自の能力や希望に応じて業務案件を紹介し、業務が始まってもMAIAが丁寧にサポートを行う。初心者でも安心して経験を積んでいける仕組みだ。

公明の提案で政府が官民連携へプラン策定

政府のプラン(骨子)

政府の「女性デジタル人材育成プラン」では、コロナ禍で厳しい状況の女性が就労に直結するデジタルスキルを身に付けることを目的に掲げた。

具体的な取り組みとしては、?デジタルスキル習得支援?デジタル分野への就労支援?全国への横展開に向けた周知・啓発――の三つを柱とし、活用できる国の関連施策を明示。官民連携で3年間集中して推進し、3年後に効果を検証してプランを見直す。自治体や企業向けの「事例集」も別途公表した。

同プランの策定を強力にリードしたのが公明党だ。昨年の衆院選重点政策で女性デジタル人材育成の推進を掲げ、選挙後も代表質問や予算委員会で政府に実現を迫った。

国会質疑で何度も、このテーマを取り上げてきた竹谷とし子女性局長(参院議員)は「今回のプランは女性の経済的自立に向けた大きな一歩となる」とした上で、今後については「公的職業訓練でデジタル分野を拡充させたり、地方自治体の先駆的な取り組みを支援するなど国の施策のさらなる強化をめざしたい。地方自治体での取り組みが特に重要になるので、全国の地方議員と連携して後押ししていきたい」と語っている。

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