食品ロス減らすポイント制度
公明新聞:2018年2月24日(土)付
価格の約2割を還元
賞味期限近い商品の購入促す
東京都がスーパーで実証実験
まだ食べることができるのに、売れ残りや賞味期限切れなどで捨てられてしまう食品ロスを減らそうと、東京都が都内のスーパーで実証実験を行っている。これは、スマートフォン(スマホ)の専用アプリを活用して、期限が近くなった商品の購入を促す試み。こうした取り組みの課題を探るため、公明党食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)の竹谷とし子座長(参院議員)と都議会公明党(東村邦浩幹事長)のメンバーが14日、実証実験を視察した。
民間業者が開発スマホアプリ活用
実証実験の場所は、中央区入船一丁目にある24時間営業の小型スーパー。牛乳や食パン、サラダなどが陳列された店内の商品棚には、商品名や価格と一緒に、日付とポイント数が書き込まれた棚札が掲示されている。その日付までに賞味期限や消費期限切れを迎える商品を購入し、スマホに入れた専用アプリで申請するとポイントとして、ためることができる。
対象商品は、廃棄される可能性のある食品のうち、30品目。その一つ、玉うどんを買いに来ていた主婦(35)は、棚札に書かれた日付と、手に取った商品の賞味期限を照らし合わせながら「期限切れが近い品でも、買うきっかけになりますね」と語った。
実証実験は1月19日からスタート。都のモデル事業の一環で、専用アプリは、スマホのiPhone(アイフォーン)やアンドロイドに対応。家庭や小売店が食品ロス問題に取り組めるようにと、携帯電話事業者NTTドコモが開発した。3月15日まで運用される。
1カ月で800ダウンロード
専用アプリをダウンロードした買い物客は、対象商品を購入後、レシートや商品の期限を撮影した画像を送信。すると後日、価格の約20%相当のポイントが付与される仕組みだ。
店舗を運営する株式会社99イチバによると、開始から約1カ月でアプリは800ダウンロードに上り、ポイント還元の申請は100件を超えた。専用アプリの導入により、この店舗では、期限の近い食品に値下げシールを貼る作業などが軽減されたという。応対した伊藤輝志代表取締役社長は「食品ロス削減の手応えを感じている」と話していた。
開発者のNTTドコモは今後、利用状況や食品ロスの削減効果などを検証し、アプリの改善や事業展開を見極める方針。
食品ロスは、国内で年間約621万トンも発生しているといわれる。公明党は、国や全国の自治体での食品ロスを減らす取り組みを党を挙げて推進している。
視察を終え、竹谷座長は「食品ロス削減がさらに進むよう、ICT(情報通信技術)を活用した取り組みを後押ししていく」と語っていた。