女性の視点で防災対策 公明党
公明新聞:2017年8月22日(火)付
防災会議の委員に登用を
聞き取り調査を基に訴え
間もなく「防災週間」(8月30日?9月5日)と「防災の日」(9月1日)を迎えます。女性の視点を生かした防災対策を進める公明党の取り組みを紹介します。
女性の視点を防災対策に生かすということは、子どもや高齢者など社会的弱者の視点を生かすことであり、地域の防災力向上につながります。
1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災においては、避難所で女性用の物資が不足したり、授乳や着替えのためのスペースがなかったり、プライバシーが確保されていないなど、女性の視点から見て不十分な運営状況がありました。
こうしたことを繰り返さないために、公明党女性委員会は東日本大震災発生後の11年8月、女性防災会議を立ち上げました。
女性防災会議はまず、公明党の全女性議員が一丸となり、女性の視点からの防災行政総点検を実施しました。防災対策は国だけでなく、地方自治体の取り組みが重要であるからです。
ネットワークの力を生かし、658自治体の防災担当部署を対象に聞き取り調査を行った結果、女性の視点が防災対策に生かされていない実態が明らかになりました。
これを受けて女性防災会議は、調査結果を基に、政府に対して2度の提言を実施。国会においては地域防災会議に女性を登用しやすくするよう、災害対策基本法を改正しました。その後、各地の地方議会で多くの地方議員が後押しし、13年4月時点で防災会議に女性委員がいない都道府県はゼロになりました。しかし、市町村防災会議では、女性委員がいない自治体が16年時点で26.7%あります(内閣府調査)。今後、女性委員がいない自治体を解消するとともに、会議に占める割合を高めていく必要があります。
リーダーの育成を進める
東京都は防災ブック発行へ
昨年4月に発生した熊本地震では、発生直後、避難所に女性専用の休養スペースがない、女性や子どものニーズが反映されていないといった実態がありました。党熊本県本部女性局(藤岡照代局長=熊本市議)は同年5月16日、熊本県と熊本市に対し、女性の視点を反映した復旧・復興に関する要望書を手渡しました。
要望の内容は(1)避難所運営会議への女性の参加(2)災害弱者が安心して過ごせる避難所の環境改善(3)被災した親子への心のケア強化―など。要望を受けて熊本市は、避難所運営会議のメンバーに女性を登用するなどの対策を取りました。
地震などの災害はいつ起こるか分かりません。平常時に地域の女性防災リーダーを養成し、いざというときに対応できる体制をつくっておく必要があります。
16年6月、内閣府男女共同参画局は「男女共同参画の視点からの防災研修プログラム」を取りまとめ、全国の自治体を対象にした説明会を開催しました。党女性防災会議は、この研修プログラムを活用し、各地で女性防災リーダーの養成講座を開催していけるよう訴えてきました。党内閣部会(佐藤茂樹部会長=衆院議員)も、女性リーダー研修を行うための予算確保を政府に求めてきました。
一方、東京都は今年5月23日、「女性の視点からみる防災人材の育成検討会議」の初会合を開催。都が求める人材像を定め、女性防災リーダーの裾野を広げる研修プログラムをまとめる方針です。この他に、女性に防災への関心を広げるためのシンポジウムや、防災の基礎知識を身に付けてもらうセミナーを行います。
また、都は「女性視点の防災ブック」の作成にも乗り出しており、来年3月までの発行をめざしています。これは昨年12月、都議会公明党の提案を小池百合子知事が受け入れ、17年度予算に盛り込まれたものです。
公明党は過去の教訓を生かし、女性の視点を反映した防災対策に全力で取り組んでいきます。