「食品ロス」ゼロ進めよ
公明新聞:2016年5月24日(火)付
23日の参院決算委員会で公明党の竹谷とし子さんは、まだ十分に食べられる食品が捨てられてしまう「食品ロス」の削減推進について、食品事業者と消費者、行政それぞれにメリット(利点)があるとし、「食品ロスゼロに向けて果敢に取り組むべき」と訴えた。
竹谷さんは、世界中から食料を輸入する一方で年間約642万トンの食品ロスが発生している問題について、「世界中で飢餓に苦しむ人に援助される食品の量を日本国内の食品ロスの量がはるかに上回る」と指摘。食品ロス削減に向けて、公明党が政府に削減目標の設定など具体的な政策を提言したほか、国連が2030年までに世界全体で半減させる目標を掲げ、先月の先進7カ国(G7)農相会合の宣言でも経済や環境、社会に影響を及ぼす世界的問題と明記されたことを踏まえ、「東京五輪・パラリンピックをめざして、世界に先進的なモデルを示していくべき」と主張した。
安倍晋三首相は「先般、公明党から有意義な提案をいただいた」と述べた上で、食品ロス削減に向け、「国民運動として、消費者の意識向上などに幅広く取り組んでいく必要がある」と主張。さらに、「(公明党から)提案があった(削減)目標の設定も検討していく」と答えた。
さらに竹谷さんは、食品流通業界で製造日から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎた加工食品は納品できなくなる商習慣「3分の1ルール」の見直し促進を提案するとともに、未利用食品を生活困窮者や児童養護施設など食品を必要としている人や施設に届けるフードバンク事業の支援を求め、「貧困対策だけでなく食品ロス削減にもつながる」と強調。森山裕農林水産相は「しっかり取り組んでいく」と応じた。
一方、竹谷さんは、行政の透明化を高め、効率化を進める観点から14年度決算で試行的に「個別事業のフルコスト情報」が開示されたことに言及。税金の使い道の透明化や財政の「見える化」に資する点を評価するとともに、直接かかる事業費のみならず人件費や物品購入費などを含めたフルコストを把握することで、「行財政のムダ削減につながる」と強調し、今回の開示では24の事業・業務に限定されていることから対象範囲を広げるよう求めた。
麻生太郎財務相は「さらなる充実に向けて努力する」と答えた。