増税なし「850万円」まで
公明新聞:2017年12月13日(水)付
与党税協 所得税改革案を決定
子育て・介護世帯も対象外
自民、公明の与党両党は12日夜、都内で税制協議会を開き、2018年度与党税制改正大綱の取りまとめに向け、所得税の控除見直しで負担増となる会社員の年間給与収入を850万円超とする案を了承した。
所得税改革を巡っては、7日に開いた公明党の税調総会で、負担増となる会社員の給与水準を800万円超とする試案が提示されたが、出席議員から「中間層の生活を直撃する」などの反対意見が続出した。これを受け、自民・宮沢洋一、公明・斉藤鉄夫の両税調会長は見直しが必要と判断し、修正を行った。
修正案は、働き方改革を後押しする観点から、フリーランスなど請負契約で働く人や自営業者の減税を進めるため、全納税者に適用される基礎控除を10万円増やす。一方、会社員に適用される給与所得控除を10万円縮小した上で、850万円で頭打ちとし、控除額の上限を現在の220万円から195万円に引き下げる。
ただし、公明党の強い主張により、給与収入が850万円超でも22歳以下の子どもや介護が必要な家族がいる約200万人の会社員は増税の対象外となる。増税額は年間の給与収入が900万円の場合で年約1万5000円、950万円で約3万円、1000万円では約4万5000円などになる見通し。
財務省によると、会社員の4%程度に当たる約230万人が負担増の対象となり、控除の見直しは20年1月から実施する。
このほか、3%以上の賃上げをした大企業と、1.5%以上の賃上げをした中小企業を対象に法人税を最大20%軽減する減税措置や、24年度に創設する森林環境税(仮称)、観光施策の財源に充てる国際観光旅客税(同)なども了承した。
また公明党側は、配偶者が死亡するなどした世帯の所得税負担を軽くする寡婦(夫)控除の対象について、「未婚のひとり親にも適用すべき」との意見が党内に強くあると強調し、自民党に検討を求めた。
これに先立ち公明党税制調査会は同日、衆院第2議員会館で総会を開き、所得税改革案などを了承した。