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2016.02.21
公明ニュース

食品ロスの削減

公明新聞:2016年2月21日(日)付

642万トンが廃棄
国連の食料援助量の2倍

食べられるのに捨てられてしまっている「食品ロス」が大きな問題になっている。公明党は昨年12月、「食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT、竹谷とし子座長=参院議員)」を立ち上げ、食品ロスを減らすための取り組みを加速させている。

食品ロスの削減は今や、世界共通の課題である。

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界中で1日に約4万人以上が飢餓により命を落としている一方で、地球全体の食料の約3分の1となる13億トンが無駄に廃棄されているという。

実際、昨年9月に国連で採択された21世紀の国際社会がめざすべき新しい共通目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物の量の半減と、食品ロスの減少を達成することが掲げられている。

とりわけ日本では、年間642万トンという膨大な量の食品ロスが発生している。これは、国連が食料難に苦しむ国々に援助している総量(約320万トン)のおよそ2倍に当たる。

農林水産省と環境省の推計(12年度)によると、食品関連事業者(製造、卸売、小売、外食など)から出ている食品ロスが約331万トン、家庭からが約312万トンとほぼ半数ずつである(概算であるため合計値が異なる)。食品関連事業者だけでなく各家庭からも、食品ロスをできるだけ出さないようにする努力が求められている。

農水省によると、食品ロスが生じる背景には、"必要な量"を超えた食品を生産することが当たり前になっている実情があるという。

スーパーなどの小売店は、棚に並んだ食品が品切れにならないように、小まめに卸売やメーカーに注文する。その注文に応えるため、卸売やメーカーは常に余裕をもって在庫を抱えている。結果として、賞味期限となり廃棄される食品が非常に多くなってしまう。

また、外食店からは、食べ残しや調理の過程で作りすぎた料理などが捨てられている。

家庭からは、食べられるのに調理時に取り除いてしまう「過剰除去」や、食べ残し、冷蔵庫に入れたまま賞味期限切れとなった食品などが廃棄される傾向にある。

事業者の努力に注目 再利用などの取り組み進める

食品ロスを減らす取り組みも進められている。

農水省は昨年度から、飲料や賞味期限が180日以上の菓子については、納品期限を長く設定するよう小売店などに推奨するようにしている。

食品関連事業者による対策も見られる。

ホテルニューオータニ(東京都千代田区)では、廃棄した食品を肥料にする「コンポストプラント」を導入。1日で生じる約5トンもの食品廃棄物を発酵させて肥料に変え、契約農家に提供している。

スーパー大手の西友(本社・東京都北区)は食品ロスを減らすため、特定非営利活動法人「セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)」に売れ残った食品を寄付している。2HJは、余っている食料を企業や個人から譲り受け、生活困窮者や福祉施設などに配る「フードバンク」事業を手掛ける団体だ。

立川グランドホテル(立川市)では、創価大学経済学部の学生の発案で、発展途上国の支援につながるドギーバッグ「おすそわけBOX」を導入している。ドギーバッグとは、飲食店などで食べ切れなかった料理を持ち帰るための容器だ。

同ホテルには、アフリカのケニアで暮らす子どもたちが描いた絵がプリントされているドギーバッグが置かれており、1個利用されると、途上国で活動する非政府組織(NGO)などの協力団体を通じて子どもたちに12円が送られる仕組みになっている。12円は途上国の子ども1人の1日分の給食費に当たる。

党PTが政府に提言へ

公明党の食品ロス削減推進PTは1月21日に初会合を開き、食品ロスの現状や削減への取り組みについて農林水産省や環境省などから説明を受け、意見を交換した。

現在、食品ロスの削減に向けて、先駆的な活動を行う関係者からのヒアリングを行っている。セカンドハーベストジャパンのフードバンク事業なども視察する予定。

それらを踏まえて食品ロスの削減を進めるための提言を早急に取りまとめ、政府に提出する方針だ。

食品ロスとは?

食品廃棄物のうち、食べられるのに捨てられてしまうもの。農林水産省と環境省の推計(12年度)では、年間2801万トンの食品廃棄物が出ており、そのうちの642万トンが食品ロスである。

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