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対談:安全・安心の東京へ 大規模水害の備え万全に

16022914220.jpg地形的リスク高い。事前対策を 土屋
防災・減災への投資は効果大 竹谷

竹谷 多くの犠牲を出した昨年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊し、住宅の屋根から自衛隊などのヘリコプターで救助される姿が報じられたり、あらためて水害の恐ろしさを突き付けられました。近年、都内でもゲリラ豪雨が頻発しており、大規模水害への備えが急務です。

土屋 東京は地形的に水害リスクが高い場所にあります。関東平野の一番低い位置にあり、周囲の山々から東京湾に流れる河川が集まる場所だからです。

竹谷 PTの調査を通し、水害に対する東京の脆弱性を痛感しています。満潮時に海面以下になるゼロメートル地帯や高潮で水没の恐れがある地域は、東京23区の4割に及びます。こうした地域を実際に歩くと、私の身長より高い位置に海抜0メートルの標示があり、危機感を覚えました。

土屋 水害のリスクが高いのは、23区東部に多いゼロメートル地帯だけではありません。西部の2000メートル級の山岳地帯から島しょ部まで、それぞれの地形が気象の影響を受けやすい特徴を持っています。伊豆大島のように、極端な積乱雲がとどまり続け、大規模な土石流災害が起こることもあります。

水位-1.jpg

伊豆大島の土石流災害竹谷 2013年の伊豆大島の土石流災害では、発生直後に参院災害対策特別委員長として現地を調査しました。被災前に集落があった場所はわずかな家屋を残して流出し、根こそぎ倒された木や電柱が土砂に埋まった現場を目の当たりにし、早期避難の重要性を痛感しました。一方で、砂防施設などのインフラが土砂や流木をとどめて、被害の拡大を防ぐ一定の役割を果たしていたことも分かり、事前の備えを強固にしていくことの重要性も確認しました。

土屋 やはり、地形、地質上の違いを把握し、あらゆる事前対策を行うことが何よりも大切です。昨年、仙台市で開かれた国連防災世界会議では、防災に向けた事前投資は被災後の復旧・復興費用よりも、はるかに安く効率的だという試算が出ています。

竹谷 公明党が命を守る防災・減災対策に力を入れる理由は、まさにそこにあります。

私は議員になる前、企業のリスク管理にも携わりました。企業が設備などの維持費用を削りすぎると、かえって事故を誘発して大きな損失を出すことにもなり、そのリスクを抑えることが重要な課題になっていたのです。国でもムダ削減を進める一方で、防災・減災や福祉など安全・安心のために必要なところには、しっかりお金を使っていく。そうした視点に立った「経営改革」が必要です。

土屋 同感です。今、政治に必要なのは、国民が将来にわたり安全に暮らせる環境を整備する「国家経営」の視点です。その整備には十分な防災予算が不可欠です。

竹谷 東京では首都直下地震も切迫しており、大型の台風や集中豪雨も増え、災害のリスクが高まっています。その意味では、防災・減災対策への投資は、ムダどころか、いざという時に被害の拡大を防ぎ、命と財産を守る大きな効果があると確信しています。

例えば関東・東北豪雨では、「首都圏外郭放水路」が中小河川の洪水を取り込んで江戸川に流したことで、首都圏一帯の被害を大きく低減させました。

土屋 東京の雨水排水能力は1時間で50ミリが限界です。そこに100ミリの雨が降れば、あふれるのは当たり前。調整池や放水路は整備せざるを得ないのが実情です。

竹谷 国民の命や生活を守ることこそ政治の責務です。さまざまなデータを基に、ソフト・ハード両面で効果的な事前防災対策を進めていきます。


16030216510.jpgネットワークの公明が"要"に 土屋
"現場発"の提言実現めざす 竹谷

土屋 竹谷さんが本部長を務める大規模水害対策のPTが今年2月にまとめた政策提言は、今まで盲点だった点をしっかり押さえた素晴らしい提言です。

竹谷 ありがとうございます。昨年10月から地方議員と一緒に調査を重ね、提言にまとめました。
(1)流域ごとに複数の自治体が連携して、事前の防災行動を時系列でまとめる「タイムライン」の策定とそれに基づく訓練の実施
(2)浸水の被害想定や住民がいつ避難すればいいかが一目で分かる「ハザードマップ」の作成
(3)適切な避難勧告・指示発令のための体制構築
(4)地下鉄や地下街の避難態勢と浸水対策の強化
――をはじめ50項目の政策を国と都に申し入れました。

土屋 中でも、(1)の流域ごとの広域連携は特に重要です。日本は地方分権で、災害対策も基礎自治体に任せていますが、河川は複数の自治体を流れているのだから、流域ごとの対策が必要なのは当然です。

竹谷 広域連携では流域内の自治体同士という横の連携と、国や都道府県との縦の連携が重要です。公明党には、縦も横もしっかりとした議員ネットワークがあります。この連携を強めながら、防災・減災対策を進めていきます。

土屋 期待しています。最近では、災害の危険が迫ってから避難指示が発令されるケースがありますが、避難の時間を十分に確保して発令するのが基本です。今は台風や集中豪雨、積乱雲の発生なども、ある程度予測できるようになったので、適切に対応してほしいと思います。

竹谷 貴重なご指摘です。自治体が迅速に判断できるよう、サポート体制の強化に取り組みます。

土屋 水害対策の提言は、現場で何が求められているかが肌感覚で分かる公明党だからこそできたと思います。実現に向けて、ぜひ頑張ってください。特に広域連携の"要"としての活躍を期待しています。

「小異を捨てて大同につく」という言葉がありますが、地方分権が進む現代だからこそ、自治体間をつなぐ政治力が必要です。広域連携が欠かせない水害対策では、まさに公明党のようなネットワークを持つ政党が大事です。

竹谷 ありがとうございます。東日本大震災を機に全国で震災対策の強化が進んでいますが、水害対策はまだまだこれからです。引き続き地方議員と連携しながら、提言の実現に取り組み、震災にも水害にも強い「安全・安心の東京」の構築へ全力で頑張ります。


つちや・のぶゆき

東京都入庁後、建設局課長、江戸川区土木部長などを歴任。現在は公益財団法人リバーフロント研究所理事、公益財団法人えどがわ環境財団理事長、土木学会首都圏低平地 災害防災検討会座長などを務める。著書に『首都水没』(文春新書)。

(公明新聞 3月5日付)

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